病院の外来、今日も混雑している。
予約時間通りに来ているのに全然呼ばれない、医者は何をやっているんだ。
皆さんの心の声は外来ブースの中の医師に届いています。
お待たせするのは申し訳ないと思いながら、ひたすら仕事をしています。
今回はなぜ外来ではあんなに待たされるのか?
外来ブースの扉の裏側のお話をしたいと思います。
本記事の内容
- なぜ外来ではあんなに待たされるのか?
- 外来が予定通り進まないわけ
- 初診患者さんの診察の着目ポイント
- まとめ: 外来は戦場のような忙しさ
なぜ外来ではあんなに待たされるのか?





皆さんもこういった御経験はよくあるのではないでしょうか。
医師にとっても耳が痛いお話です。
外来の予約はきちんととられているのに、時間通りに呼ばれない。
毎回1時間近く待たされてしまう。
もちろん予約時間通りに進めていく病院もあるかと思います。
しかし、私の知る限り多くの病院は外来は混雑して予約時間から30-60分以上待たされるのが ”普通” の病院が多いように思います。
一体外来の扉の裏側で医師は何をしているのでしょうか。
さぼって休んだりしているのでしょうか?
もちろんそうではありません、その実情をお話したいと思います。
外来が予定通り進まないわけ
患者さんの予約数の設定がそもそも厳しい
現在多くの病院で電子カルテが導入されており、予約もパソコン上で行うようになっています。
電子カルテシステムでは30分もしくは60分の予約枠に何人まで予約を入れるか設定できます。
例. 9:00- 9:30 の枠に3名までの予約.
この予約設定だと、患者さん1名あたりの時間は10分間ということになります。
外来患者さんが多い場合はこの予約枠では当然足りません。
その場合は30分に5名までの予約とすると、患者さん1名あたりの時間は6分間になります。
何度も通院してくださっていて、御病気の安定していらっしゃる患者さんを診察した場合に、医師がやることを書き出してみます。
診察でやることリスト
- 外来ブースに入ってくる時点の表情・歩き方・雰囲気を確認する
- 問診をとり診察して状況を確認する
- (必要あれば)検査の説明や結果説明を行う
- 現在の病気の状態を評価して今後の方向性などを説明する
- 処方箋を発行する
- 次回の診察予約をとる
- (同時並行で)カルテ記載を行う
このようにして1名の患者さんの診察が終了となります。
病院によっては医師に医療補助の方が付いてこれらの業務の一部を補助していただくところもあります。
多くは医師が行なって、外来診療は進んでいきます。
これを6-10分でやり続けられれば外来は本来予定通りに進んでいくはずです。
カルテ記載や検査結果の確認に時間がかかる
しかしそうはいきません。
診察中にカルテの記載をする場合はどうしても医師の視線はパソコンに向かいます。
できれば面と向かって診察したりお話を聞きたいですから、その間はパソコンは入力しません。
そのため必要な情報は診察後にもしっかりとカルテ記載します。
また検査結果の確認やご説明にかかる時間もその内容によって様々です。
脳神経外科では頭部の画像(CTやMRI)を取ることも多いです。
その結果のご説明にはやはり時間がかかりますので、時間通りに外来をやり続けることが難しいことも多いです。
予約外や初診の患者さんが多い場合
予約診療の患者さんのみであればある程度時間の予測ができます。
しかし、予測ができないのは予約外もしくは初診で外来にいらっしゃる患者さんです。
病院によっては予約外もしくは初診でいらっしゃった患者さんは、予約患者さんの診察がすべて終了した後というところもあるようです。
しかし、予約の患者さんの合間に予約外の患者さんも診察していく病院もあると思います。
ですのでこれらの患者さんが多く来院された日は特に外来が混雑する形になります。
普段から通院されている患者さんに比べて初めて顔を合わせた患者さんに対する診察は注目するポイントも異なります。
続いて初診の患者さんに対して医師がどのように外来診察を行なっているかをまとめてみます。
初診患者さんの診察の着目ポイント
- 受付で記載してもらう問診票を確認し、患者さんの全体像を把握する
- 外来ブースに入ってくる時点の表情・歩き方・雰囲気を確認する
- ご挨拶と名前の確認(本人確認)を行う
- 問診をとり主訴(病院に来た理由)を確認する
- 既往歴、内服歴、アレルギーなどを確認する
- 診察して身体所見をとる
- 必要な検査をオーダーする
- ——— ここで患者さんは一度検査へ ————
- 検査結果を説明
- 診断と治療方針を説明
- 処方箋を発行する
- 次回の診察予約をとる
- カルテ記載を行う
このようになります。
あっという間に時間は経ってしまい、待っていらっしゃる予約の患者さんに申し訳ないなと思いながら、目の前の患者さん一人一人に応対していっています。
これは筆者の考え方ですから一般的ではないのかもしれませんが、他の多くの医師とそんなに違いはないだろうと思っています。
普段は見えない扉の向こう側では医師はこのようにして仕事を進めているということを少しでも知っていただけたら嬉しいです。
まとめ: 外来は戦場のような忙しさ
いかがでしたでしょうか。
外来診療の裏側で行われていることについてお話しました。
もちろん医療者側は患者さんの待ち時間を短くできるよう努力をしてくべきですし、実際そのように取り組んでいるところも多いです。
今回の記事を読んでくださった方が、診察を待っている間の気持ちが少しでも楽になればとても嬉しく思います。
また情報を発信していきます。